2010年11月17日
2010年10月04日
2010年10月04日
2010年10月03日
Whiz Leathersが出来るまで まとめ
WL BRAND BELT by SHINYA
『WL BRAND BELT』
中央にカービング(※1)で"WHIZ LEATHERS"の文字、周囲にスタンピング(※2)の技法を使ったベルトです。
ベースとなる革はハーマンオーク社のツーリングレザーを使用しています。
アメリカ・セントルイス。ミシシッピーの大河のほとりに建つタンナーにて、米国原産ステアハイド(※3)を
上質の植物タンニンで鞣(なめ)し、ウエスタンサドル等の製作に使われる革です。
特長は、染め付けがよくカービングやスタンピングに適しており、使い込むほどに深みのある色へ変化します。
まず革の表面へ図案をトレースします。
トレースが終わったら、スポンジで革に水分を含ませてスーベルカッターでラインをカットする
工程に入ります。
スーベルカッターとは、図案のアウトラインをカットするためのカッターで、
カービングの基本工具です。
親指と中指でボディを持ち、人差し指をヨークにかけて使います。
カットの工程は、スーベルカッターの切れ味と革の水分量によって大きく影響されるので、
コンディションに充分に気を付けて行なわなければなりません。
製作過程の紹介はまだまだ続きますが、『WL BRAND BELT』は本日リリースとなっています。
是非店頭にて実物を見て頂けると嬉しいです。
※1 レザーカービングとは、様々な工具を使い革に彫刻を施す技法。
※2 スタンピングとは、刻印(スタンプ)を打っていくことで図案を作り出す技法。
※3 「ステアハイド」生後2年以上経過した太らせた雄牛からできる代表的な牛革。
WL BRAND BELT #2 by SHINYA
前回の続きです。
カッティングが終了したら、カットしたラインに沿って『ベベラ』という刻印を打ち、
模様全体を浮き上がらせる作業に入ります。
カービング用刻印は『ベベラ』一つとっても数多くの種類がありますが、
僕は主にシェリダンスタイル(※1)用の細かいチェッカータイプで、
打刻面の傾斜が従来の物より鋭角な物を使っています。
『ベベラ』を1〜2mmずつ滑らせながら、モウル(※2)を垂直に連続して打ちます。
『ベベラ』が打ち終わったら、フチのラインに三角形の刻印を一つずつ打刻していきます。
以上で打刻の工程は終了です。
この後は表面の仕上げに入っていきます。
※1 「シェリダンスタイル」
日本においてカービングの代名詞とも言える、ワイオミング州シェリダンでドン・キングによって確立された
カービングスタイル。
※2 「モウル」
刻印や目打ちを打ち込む際に使用する打ち具。
WL BRAND BELT #3 by SINYA
前回で打刻の作業が終わりましたので、仕上げの工程に入っていきます。
仕上げにも色々な方法がありますが、Whiz Leathersではスタンピング、カービングをした部分に
アンティックと呼ばれるペースト塗料を染着し陰影をつける「アンティック仕上げ」で仕上げています
まず、全体にまんべんなくオイルを塗ります。この際のオイルにはアメリカ・フィービング社の
ニートフットオイル(牛脚油100%)を使用しています。
オイルがしっかりと浸透したら、その上から防染剤としてラッカーを塗ります。
ラッカーが乾いたら、ブラシを使いアンティック(クラフト社 アンティックダイ)をすり込み、
乾く前にウェス等で拭き取ります。
防染剤の効果により表面のアンティックは取れ、凹部にアンティックが残ることによって陰影が出ます。
最後にコート剤(フィービング社 タンコート)を塗り、乾かして、表面の仕上げが終了です。
以上、表面の仕上げは、オイル→ラッカー→アンティック→タンコートの4工程を経て完了です。